<東京地裁>被告と接見中止は違法 拘置所内の撮影は認めず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141107-00000101-mai-soci

刑事訴訟法は、容疑者や被告が立ち会いなしで弁護士と面会できる接見交通権を保障しており、撮影が接見に含まれるかが最大の争点となった。沢野芳夫裁判長は「被告らの状態を撮影して正確に記録することは、必要不可欠とまでは言い難い」などと述べた。一方、国側が接見を中止させた理由とした証拠隠滅やプライバシー侵害の恐れなどについては抽象的な危険に過ぎないとし、「接見を中止させることはできない」と指摘した。

接見交通は、従来、弁護人が被疑者、被告人と立会人なく面会し物の授受ができる権利と考えられてきましたが、単に狭く「面会」と捉えるのではなく、情報のやりとりを自由に行いそれに付随する記録保存も自由に行うことができる権利であると考えれば(そういう方向で考えるべきではないかと私は思いますが)、写真撮影、録音も接見交通権の範囲に含まれることになるでしょう。従来も、弁護人が被疑者とのやり取りをメモに筆記して記録することは行われてきたわけで、それと、撮影や録音をことさら区別して考えることに、論理性はないのではないかと思います。施設管理者側は、撮影された画像等が第三者に提示されるなどの弊害を懸念しているようですが、刑事訴訟法上、接見により得た情報をどのように取り扱うかは、第一次的には弁護人の自律に委ねられていて(もちろん、問題があれば懲戒処分等を受けることになりますが)、そういった懸念は、施設管理権の問題というより、接見交通が、本来、内在的に抱える危険を、施設管理権という権限を越えて問題にしているに過ぎないのではないかと私は思います。上記の判決が、「国側が接見を中止させた理由とした証拠隠滅やプライバシー侵害の恐れなどについては抽象的な危険に過ぎない」とした点は、そういった施設管理権という観点で正しい方向で見ようとしているように思われますが、接見交通権がどういう権利なのかについて、写真撮影を含めず、狭く解しすぎている点は残念という気がします。
今後、高裁、最高裁で審理されて、最高裁の判断が示されることが適当な問題と言えるでしょう。