女子高生と性行為の男性に無罪 名古屋簡裁「真摯な交際」 

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070523/jkn070523018.htm

山本裁判官は判決理由で、職場のアルバイトの女子高生と2人で映画を見るなど、交際する中での性交渉だったと指摘。「単に反社会的な不倫行為だから処罰するのではなく、年齢や交際状況、時代の変化を客観的に判断する必要がある」と述べた。
山本裁判官は判決文を朗読後、「無罪判決は条例を厳格に判断した結果。法令と道徳は一致せず、道徳的に許されないと考える人も多いと思う。妻子ある立場をよく考えてほしい」と私見を男性に説明した。

「淫行」禁止規定については、最高裁判所判例があり、

青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為

と限定解釈されていますから、真面目に交際している中での性行為、といったものは含まれません。
証拠関係がよくわかりませんが、上記のような判示から、男性側に妻子があり、いわゆる不倫関係であった、ということが、起訴にあたりかなり重視されたのではいないかと推測されます。起訴検察官は、妻子があるような男性が、女子高生とこういった関係を結ぶこと自体、「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない」と見たのかもしれません。
こういった関係は、なかなか微妙で奥深いものがありますから、捜査、起訴にあたっては、固定観念とか思い込みにとらわれず、幅広い証拠収集、慎重な検討が必要である、ということを示す好例のように思います。

追記(平成22年10月22日):

名古屋地判平成22年2月5日(判例時報2086号73頁以下)

上記の事件につき、国家賠償法に基づき損害賠償請求訴訟が提起され、警察官(逮捕の違法性)及び検察官(虚偽自白の取得、公訴提起の違法性)の責任が肯定され損害賠償が一部認容された(控訴)。