柔道元指導員は無罪主張「技量配慮」 松本事故で初公判

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013080190200225.html

長野地検は、「事故は予見できなかった」などとして不起訴としたが、長野検察審査会は2度、「起訴相当」と議決し、今年5月、検察官役の指定弁護士に在宅起訴された。強制起訴を受けた裁判は中部地方では初めて。被告が事故の発生を予見できたかどうかが最大の争点となる。
冒頭陳述で、検察官役の指定弁護士は「柔道指導者は、技能が低い相手を力加減せずに投げれば、打撲や骨折、脳損傷など重大な傷害を負う危険性があると予見し、それを回避すべき義務がある」と指摘。「加減して投げていれば事故は回避できた」と述べた。

被告は08年5月27日、松本市の柔道教室で、沢田君に「片襟体落とし」という技をかけ、頭が急激に揺さぶられ頭の中の血管が切れる「加速損傷」によって急性硬膜下血腫を発症させ、重度の意識障害を負わせたとされる。

私が前に被害者側で受任していて、横浜地裁で損害賠償を命じる判決が宣告され1審で確定した同種事件でも、横浜地検は、

柔道技かけ重傷、不起訴は不当 横浜、教諭の再捜査
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20091212#1260547369

でコメントしたように、不起訴不当議決にもかかわらず再度の不起訴とし、刑事責任は問われずに終わりました。しかし、その後、同種の民事事件では、私が担当していた事件以外でも、上記のような原因で重篤な傷害が発生、死亡に至るというケースにつき、柔道指導者側の過失責任を認定する傾向になってきていて、そのような判断は、徐々に刑事事件にも及ぶ可能性が高いのではないかと私は見ています。柔道という危険なスポーツで、人を指導する以上、稀に生じているわけではなく、繰り返し発生してその原因についても専門家が指摘しているような危険性については、きちんと学んだ上で適切な指導を行い、技のかけ方にも十分な注意を払うべきで、知らなかった、わからなかったで済ませられる問題ではない、というのが、健全な社会常識、社会通念に沿った過失認定でしょう。
この事件での、今後の審理や判決が、同種のケースに与える影響もおそらく大きく、注目されると思います。