画像投稿サイト運営の社長ら7人、わいせつ図画陳列で逮捕

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070523-00000312-yom-soci

画像ちゃんねる」は、2002年12月の開設以来、掲載されたわいせつ画像が約102万件、閲覧件数が昨年1年間で約7362万件に上り、国内最大規模の画像投稿サイトとして知られる。ネット掲示板の管理者を同容疑で逮捕するのは極めて異例。

容疑者らが、わいせつ画像を放置して運営を続けており、悪質と判断した。

警察から見て「悪質かどうか」という問題と、そういった行為が犯罪かどうかという問題は、分けて考える必要があります。そうしないと、日本は、以前の南アフリカ顔負けの警察国家になりかねないでしょう。
疑問として指摘できることとしては、上記のような極めて多数の投稿がある中で、管理者が、個々の投稿をどこまで認識できるか、ということです。放置、放置と言いますが、個別具体的に認識しているということが、その前提として存在しないと、そもそも「放置」とは言い難く、そういった行為が犯罪行為とは言い難いでしょう。個別具体的な認識を問うことなく、「何か違法なものがあるようだ」といった程度の認識で故意を認定し、何もしないから放置だ、犯罪だ、ということになると、この種のサービスを運営していれば、大なり小なり問題のある利用者、利用行為というものは出てきて、完全にゼロにはできないので、運営者は、皆、放置しているが故の犯罪者、ということになりかねないでしょう。犯罪かどうかは、厳密な基準に基づいて厳密に認定される必要があり、どこで明確な一線を引くか、ということが大きな問題であると思います。
日本の警察の、この種のサービスに対する対策は、

1 個々の利用者に対する取り締まりは、面倒で手間もかかり、いちいちやっていられない
2 サービス運営者、ソフト開発者(典型例はwinny)に対処させることで、最小限度の警察力で最大限度の効果を出したい
3 サービス運営者等に思い切り圧力を加え対処させるため、特に対応が好ましくない(警察から見て)者を立件し、逮捕、勾留してマスコミに大々的に報道させる、裁判所や検察庁はどうせインターネットのことはわからないし、起訴されなくても逮捕、勾留されるだけで見せしめになり警察の力を見せつけられる

という発想に基づいているのではないか、と思われます。
インターネット上で、様々な問題情報が流通することについて、それをそのまま何もせず放置して良いとは思いませんが、サービス運営者を、刑罰による威嚇の下で江戸時代の目明かし、岡っ引きのような存在に仕立て上げ、情報流通を常時監視させる、という手法は、警察国家に通じるものでもあり、旧東ドイツの「シュタージ」のような諜報機関の手法とも通じるものがあると思います。
今のところ、「児童ポルノ」「わいせつ」といった、捕まる人々に同情が集まりにくい分野で警察が着々と地ならしをしている状況ですが、こういった路線が完全に定着した曉に、対象が、権力を批判する言論、政治家の裏面をあばく報道、といった、民主主義の根幹に関わる分野に飛び火する危険性、ということを、我々は今から真剣に考えておいたほうが良いように思います。