捜査報告書改ざんか 違法捜査を隠蔽 鹿児島12人無罪

http://www.asahi.com/national/update/0408/TKY200704070248.html

昨日も触れた件ですが、「内部文書」にいろいろなことが書かれていたようですね。

03年4月20日当時、取調室で藤元さんに「買収したという自白」を強要していた警部補は、補助捜査員の女性巡査を同席させたうえで、藤元さんから姉(56)に携帯電話をかけさせた。「妹から買収された」と言わせる狙いだったという。実際、藤元さんは姉に「焼酎と現金をもらったようにしてほしい」と頼んだが断られた。通話は女性巡査が隠し持っていたICレコーダーで録音していた。
この時の取り調べについて弁護側が尋問した04年5月の公判で、警部補は「私が(取調室から)退席している間に、(藤元さんと女性巡査が)隣の部屋に移って電話をした」と虚偽証言。その後、警部も証人出廷することになったが、捜査関係者によると、当時の県警は、警部補の偽証の発覚と、自白の強要など違法な取り調べの実態が「取り調べ中の携帯電話の使用禁止」という県警の内規違反によって裏打ちされてしまうことを心配していたという。
県警と地検は、警部が出廷する直前の04年11月に、この問題について協議。その際、警部が捜査報告書について「電話をかけた場所は当初女性巡査が書いた内容を書き直させた」「私が添削し、書き換えさせた」などと報告。さらに県警側が「(録音が法廷に)出されると、警部補の証言に食い違いが出る。矛盾しないよう手当てしたい」などと説明していた。
これに対し、検事は「電話をかけた場所に虚偽があることを弁護士が指摘してくれば、下手に隠すと偽証を問われる」「警部が(添削を)証言すると、虚偽公文書作成でやられる」と発言。そのうえで「巡査が法廷に引っ張られて警部と異なる証言をしたら、どうなるか知らない」と突き放した。
実際には、警部の証人尋問では、携帯電話をかけた場所についてはやり取りがなかった。

問題点を私なりにまとめると、

1 取調中に外部へ電話をかけさせ、外部からの一種の「圧力」により自白を得ようとしたという、違法・不当である可能性が極めて高い捜査手法
2 そういった捜査が行われたことを、虚偽の捜査報告書作成等により隠ぺいしようとした上、公判でも偽証したこと
3 検察官が、上記のような事情を含む種々の問題点を把握しながら、単に「突き放す」程度の対応でお茶を濁して放置したこと

といったことでしょう。
証人出廷した警察官の皆が皆、偽証するとまでは言いませんし、真面目に職務を遂行する警察官も多いのは事実ですが、目的を達成するためには手段を選ばず偽証もするという警察の危険な側面は、我々としてもよく覚えておいたほうが良いでしょう。
時々、「警察が違法なことをするはずがない」と信じ込んでいる、おめでたく幼稚な裁判官や検察官がいますが、この記事をプリントアウトして、どこかに貼っておくと良いかもしれません。
もう一つ感じたのは、弁護人による微に入り細にわたった反対尋問は、裁判所や検察官により嫌悪されがちですが、上記のような経過や「実際には、警部の証人尋問では、携帯電話をかけた場所についてはやり取りがなかった。」といったところを見ると、重箱の隅をつつくような内容になってしまっても、ある程度細かく反対尋問するのは、無駄ではないし、むしろ有益、効果的な場合もある、ということです。
いろいろな意味で、教訓となることが多い事件だと思います。