犯人隠避事件の公判傍聴@大阪地裁

今日の午前中、大阪地裁で、前田検事(当時)関係の犯人隠避事件の公判を傍聴してきました。傍聴希望者が、傍聴可能人数を若干上回ったようで、パソコンによる抽選になってちょっと緊張しましたが、運良く抽選に当たって傍聴できました。
今日の公判では、この事件で、今後出廷する前田元検事の証言を裏付け検察立証上の大きな柱にもなると思われる國井検事が出廷して、検察官による主尋問が行われました。
尋問では、國井検事が前田検事から証拠改ざん(フロッピーディスクのプロパティ改変)を打ち明けられるまでの経緯、打ち明けられた状況や、平成21年末から平成22年1月にかけて、村木さん事件の弁護人からの指摘、主張を契機に、証拠改ざんが、大阪地検内で、國井検事だけでなく、塚部、白井といった検事らの知るところにもなり、問題として顕在化し、遂には佐賀副部長の知るところにもなっていった経緯が、かなり赤裸々に語られていました。
聞いていて、依然としてわからなかったのが、なぜ、前田検事が、フロッピーの改変というところに手を付けながら、國井検事から先に作成の報告を受けていた捜査報告書(真正なプロパティ内容に関するもの)に手を付けず、それが弁護人に開示されることになったのか、ということでした。忘れていた、ということになっているようですが、こういった重要な証拠品については、その内容に関する捜査報告書が作成されていることが多く、それは、ちょっと確認すればすぐにわかることで、捜査報告書の廃棄まで行っていれば、その後の証拠開示による問題顕在化にはつながっていなかったはずで、証言を聞いていて、なぜ、そこまで徹底されなかったのか(それが幸いして発覚に至ったわけですが)という疑問は払拭できませんでした。
証言は、平成22年1月末に、佐賀副部長が深刻な問題に発展していることを知ったところで終わり、尋問続行となりましたが、おそらくかなりの証人テストが重ねられ周到に準備されたことがうかがわれ、記憶の有り様について、具体的なところはできる限り具体的に、曖昧なところは曖昧なものとして、また、当初の記憶がその後訂正すべきものとわかった点についてはその経緯も含め語られていて、聞いていて、心証がとりやすく、特に、佐賀副部長が、國井検事らや前田検事からの電話報告により証拠改ざんを知って重大、深刻なものと受け止める場面には、かなりの迫真性があって、検察官立証の厚みを感じさせるものがありました。
佐賀元副部長とは、同期任官で、同じ地検で勤務したことがなく、親しく話すことがないまま現在に至っていますが、彼は今や被告人、私はしがない弁護士として今日の公判傍聴、ということで、任官後20年余りを経て、置かれた境遇の変化、ということを、しみじみと感じました。大きな希望を持って任官した頃に、ともに戻りたい、でも戻れない、などと、大阪地裁から去りながら、万感胸に去来するものがありました。