http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20090125/102761
奥村弁護士のブログ経由で知りましたが、極めて珍しい経緯をたどっていますね。
発生直後、女性の処罰感情は強かったが、弁護士らに勧められ示談と告訴取り消しを決めた。被告の弁護人から示談の予定を聞いた検察官は同二十四日、管轄署の男性警部補に「起訴するのに示談はまずい。きょうは示談しないよう連絡してほしい」と依頼した。
その後、警部補の数度の要請に対し、女性は告訴取り消しの意思を伝え、応じなかった。しかし、やりとりの中で、電話を替わった交際相手の男性が「分かりました」と答え、警部補は女性側が要請に応じた、と考えた。これを受け、検察官は勾留期間が残っていたにもかかわらず同日、起訴した。
弁護側は起訴事実をほぼ認めたが、起訴そのものの違法性を主張、公訴棄却を求めた。弁護側の証人で被害女性が出廷、被告に有利な証言をする異様な裁判となった。
池本寿美子裁判長は「必要な捜査を遂げていても、示談の推移を見極めた上で起訴すべきだ」とし、説得は「被害者の自由な意思決定を妨げかねない行為」と指弾。一方「被害者が明確に拒否の意思表示をしなかった事情もありやむを得ない」と違法性は認めず、被告を懲役三年とした。
検察官は、あくまで被害者の真意を確認することに徹するべきで、「起訴するのに示談はまずい。きょうは示談しないよう連絡してほしい。」などといったことを口にする、ということが、そもそもおかしいですね。
記事では、示談状況や、それに伴い告訴取消の意思がどの程度明確に表明されていたかがよくわかりませんが、そういった話が進んでいるのであれば、勾留期間ぎりぎりまで事実関係を確認する必要があり、しかも、この点が重要ですが、検察官は、他人任せにせず「自ら」確認作業を行う必要があります。被害者の真意を確認するためには、検察官が被害者に直接会う、ということも行うべきで、そのあたりの見極めがつかなければ、とりあえず被疑者を処分保留のまま釈放するということも考慮すべきでしょう。
とてもプロの仕事とは思えない稚拙さで、情けない検察官、検察庁だな、と呆れる思いがします。