<アパート全焼火災>33歳被告の放火認めず無罪 大阪地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070330-00000072-mai-soci

杉田宗久裁判長は事前に「強圧的な取り調べがあった」として自白調書の証拠採用を却下しており、この日も「自白に頼り、物証を軽視した、あしき捜査の典型」と厳しく非難した。

自白調書が証拠から排除されたため、検察が状況証拠で放火以外の原因を完全に否定できるかが争点になった。杉田裁判長は「(捜査が自白頼りだったため)ショートの痕跡がある延長コードなど重要な証拠品が押収、保全されず廃棄された」と指摘。弁護側が指摘するホットプレートや延長コードのショートによる出火の可能性について「完全に否定されたとは言えない」と判断した。

この種の事件における証拠構造を、自白偏重、自白依存にせず、裏付けをとり物証によっても支えるものにする(ただ、放火事件自体、どうしても自白中心に立証せざるを得ない面がありますが)、というのは、第1次的捜査機関である警察の責任である以上に、公判を熟知している(はずの)検察官に課せられた使命でしょう。
以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060126#1138235415

でも触れたことがありますが、昔は「大阪方式」というものがあって(私も話でしか聞いたことはありませんが)、身柄事件の事件送致があると、勾留がついた後、頭の送致書だけ検察庁に残して他の記録は警察が持って帰ってしまい、7日目くらいまでは専ら警察が捜査し、残りの3日くらいで検察庁が取り調べ等を行い(その間は検察庁に記録がある)、勾留延長があると、再度、警察が記録を持ち帰って捜査して、という手順で進められていた時代があります(話だけでしか知らないので、この通りだったどうか、いつまでそのような慣行が残っていたかは、よくわからない面があります)。
私は、徳島地検で勤務したことがあるだけで、大阪地検やその周辺庁で勤務したことがありませんが、上記のニュースに接し、昔の大阪方式が、悪い形で尾を引いて影響が残っているのかも、という気がしました。これが私の杞憂であることを祈ります。
いずれにしても、捜査を進める上では、今後の参考になる、参考にすべき判決と言えるでしょう。