養鶏場放火殺人、無期懲役に減刑・東京高裁

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060926AT1G2600Z26092006.html

池田修裁判長は「首謀者の無期懲役刑が確定しており、被告を極刑とすることは均衡を失する懸念がぬぐい難い」として、死刑とした一審判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。

本件では、

1 殺人、放火等で服役後、仮出獄中の犯行
2 死亡者1名、重傷者1名
3 首謀者は無期懲役刑が確定

といった諸点が、特に重要なポイントだったと言えるでしょう。被告人・弁護人は事実誤認も主張していたということで、どこまで否認していたかはよくわかりませんが、裁判所から見て反省悔悟が不十分であるという事情もあったかもしれません。
「被害者1名でも悪質な事案では死刑選択」という流れからすると、上記の1及び2で、死刑もあり得る事案であった(事実、1審では死刑が選択されている)と言えると思いますが、おそらく、高裁がこだわりを感じたのは、首謀者が無期懲役刑で確定している、という点であったと推測されます。確かに、首謀者が無期、この被告人が死刑では均衡を失するという印象を拭いきれない気がしますが、検察庁としては、上記の1のような、この被告人特有の事情を重視して、首謀者が無期であっても、この被告人については死刑を選択すべきである、と強く考えていたのでしょう。
死刑と無期の分水嶺にある、非常に微妙な事案であった、という印象を強く受けました。こういった微妙なところで、死刑になるかどうかが分かれてくる場合もある、ということです。

「82歳被告、死刑から無期懲役に 埼玉の殺人で東京高裁」
http://www.asahi.com/national/update/0926/TKY200609260138.html