正義のかたち:死刑・日米家族の選択/7止 塀の中生活21年の元少年

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090221ddm041040040000c.html?link_id=TT001

仮釈放のことは、考えないようにしている。受刑者の再犯を危惧(きぐ)する声が強まり、容易には実現しないと思う。事件にかかわった6人のうち4人は出所したが、遺族に謝罪せず示談金もほとんど支払っていないと聞いた。
サラリーマンの夫の退職金で、遺族への示談金を支払い終えた。その夫も、6年前に他界した。パート勤めの毎日。「手紙のやり取りができればうれしいという感じです」。06年夏以来、息子には会っていない。

◇アベック殺人事件
名古屋市緑区の公園で88年2月23日未明、少年ら6人が理容師の男性(当時19歳)と理容師見習の女性(同20歳)を襲い、現金約2万円を奪った。2人を車で連れ回し、相次ぎ殺害。無期懲役から「懲役5年以上10年以下」の刑が全員、確定した。

この事件は、当時、凶悪な少年事件として社会に衝撃を与えたもので、被害者が2名であることや犯行態様がかなり悪質であったこと、当時としても1審は、特に刑事責任が重い被告人に死刑判決を宣告していることからも(控訴審で無期に減刑)、その後、より厳罰化が進んだ今であれば、死刑判決が上訴審でも維持される可能性が高いのではないかと思います。
かつての無期懲役刑よりも、現在の無期懲役刑のほうが、仮釈放までの服役期間が格段に長く、かつ、仮釈放の審査も、より厳格に行われていて、死刑制度の存廃、死刑を適用する事件の選択ということを考える際にも、そういった実態にはきちんと目を向けておく必要があるでしょう。