痴漢「疑わしい」、男性会社員に無罪判決

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060310i315.htm

長谷川裁判官は判決で「被害者は尻を触られた感触のみで、位置関係から背後にいた男性を特定したに過ぎない」と指摘。「妻への配慮や仕事を休むことへの心配から虚偽の自白をしたことは理解できる」と自白の信用性も否定した。さらに、「逮捕、拘置について問題があったというべきだ」と捜査手続きを批判した。

この部分に、この種の事件の問題点が、端的に現れていると思います。元々、被害者の、犯人特定の上では(被害があったこと自体は確実でも)非常にあやふやな供述に大きく依存せざるを得ない証拠構造であることが多い上、実際に「やっていない」人も、否認扱いされて逮捕、勾留が濫用されがちで、しかも、様々な不安や、自白獲得に焦る捜査官による強引な誘導等もあって、虚偽自白が極めて生じやすい状況が生まれがちです。
痴漢を擁護するつもりはなく、今後も適正な取り締まりは必要と思いますが、捜査官も裁判所も(特に第一線の捜査官)、このような危険性を常に念頭に置いておくべきだと強く感じます。