ドラマ「アイシテル」最終回

これも、録画したまま観ていなかったので、観ました。ごく普通の家庭に育つ少年による、衝撃的な重大犯罪を巡り、加害者、被害者側の家族が、苦悩しながら立ち直りを目指す姿が印象的に描かれていて、少年事件を扱うことも時々ある私としても、いろいろと考えさせられるものがあったドラマでした。
田中美佐子演じる家庭裁判所調査官が、少年と地道に接しつつ信頼を得て、決定的な自白を引き出したことが、その後の加害者側、被害者側の立ち直りへとつながって行くのが印象的で、「真実の自白」というものの重要性を、改めて強く感じました。
足利事件のような冤罪事件が明るみになると、自白というものがいけないもののように論じられたり、客観証拠、科学的証拠による立証の重要性が説かれたりしますが、真犯人しか知り得ない事実、というものは多々あり、真実の自白が真相解明に役立ち捜査を、事件を大きく進展させるということは、これまでも、また、今後も変わらない真理ではないかと思います。例えば、有名な吉展ちゃん事件で、平塚八兵衛刑事が被疑者から自白を引き出さなければ、事件は永久に解決しないだけでなく、隠匿されていた吉展ちゃんの遺体も遺族の下に戻ることはなく、また、死刑にはなってしまったとはいえ、犯人が真摯に改心し澄み切った気持ちで執行を受けるということもありませんでした。
取調べの可視化等を考える上でも、自白というものはなければないほど良い、といった発想のみでこの問題を見るべきではなく、虚偽自白を排除し事件を誤った方向に進ませることがないような制度を整備しつつ、捜査機関の努力により真実の自白が獲得される手段、方法はきちんと確保される必要もあると思います。