殺人容疑の男釈放=「逮捕手続きで重大な違法」−準抗告受け拘置取り消す・奈良地裁

奈良地検によると、地裁は決定で「先月20日ごろには男を拘束し、実質的に逮捕と同じ状態で約7日間強制的に取り調べた」と指摘。「拘置請求の前提となる逮捕手続きに重大な違法があった」と判断したという。
男は先月27日に逮捕され、地裁が29日に男の拘置を決定。男の弁護士が今月2日に拘置取り消しを求める準抗告をしていた。

先行する約7日間の実質的な拘束に引き続いて逮捕状が執行されたため、実質的に、最高で48時間の時間制限を超過した、と判断された可能性が高そうです。過去の判例では、こういった逮捕に先立つ状態の下での自白の任意性が問題になる傾向にありましたが、態様によっては、このように、勾留の効力に影響を及ぼす重大な違法という評価を受ける場合もある、ということでしょう。
警察が身柄の取り扱いをしくじったがために、事件がつぶれる、つぶれかねなくなるという典型的な失態事例という印象を強く受けます。奈良地検との事前協議がきちんと行われていたか、といったこともかなり問題でしょう。
各地の検察庁に「本部係」ができたことが華々しく報じられていましたが、依然としてこの程度のことしかできていない、ということを、最高検は重く受け止めるべきでしょうね。