被告が謝罪の手紙 発信不許可で遺族に渡らず 静岡2女性強殺事件

http://www.shizushin.com/local_social/20050713000000000028.htm

奥村弁護士のブログ経由で、この事件について、上記のような問題が生じていることを知りました。

被告の弁護人によると、手紙はA4判で、遺族側の代理人弁護士あてに書かれたという。しかし、今月5日に自らの弁護人を通して手渡そうとしたが、発信不許可処分とされ、遺族側に伝わらなかったという。

被疑者・被告人と弁護人との間の接見交通権は手厚く保障されており、文書のやりとりも、当然、接見交通の中に含まれます。裁判所による接見等禁止の対象にもなりません。
接見等禁止決定が出ている場合に、弁護人が被疑者・被告人から預かった手紙を、そのまま第三者へ渡すことが、決定の潜脱として問題があるのではないか、ということは、以前から議論されていることですが、少なくとも、拘置所や刑務所が、自分勝手な判断で、弁護人へ手紙が渡ることを禁じることはできないはずです。なぜ、このような愚かなことを、静岡刑務所がやってしまったのか、よくわかりません。国家賠償請求訴訟が提起されれば、国が敗訴する可能性が極めて高いでしょう。
以前、私が担当している刑事事件で、同様の事態が生じたことがありましたが(手紙の内容も、やや不穏当なものでした)、監獄の担当者から、接見交通を制限することはできないのでそのまま落合弁護士に渡すが取り扱いには注意していただきたい、といった「お願い」があり、私のほうで内容を検討し、本人とも話をして、結局、第三者には渡さなかった、ということがありました。
接見交通権が手厚く保障されていると、弁護人を利用する形態での問題行為が生じる余地が出てきて、私も、検事在職中は、常に頭が痛い問題ではありましたが、刑事訴訟法の原則には忠実な運用を行う必要があり、弊害については、上記のような注意喚起とか、発生した問題に応じ弁護士について懲戒請求等を行う、といった方法で対応するのが筋だと思います。