安倍氏銃撃1年 山上被告裁判「今年は100%ない」 初公判、来年後半以降か 不審物騒ぎで公判前中止

安倍氏銃撃1年 山上被告裁判「今年は100%ない」 初公判、来年後半以降か 不審物騒ぎで公判前中止(産経新聞) - Yahoo!ニュース

ましてや、元首相が街頭演説中に被告の手製銃で襲撃された歴史的な事件。重大性をかんがみると弁護団も証拠の精査に慎重にならざるを得ないとみられ、関係者は「(初公判は)来年の前半は難しいかもしれない」との見方を示す。

安倍元首相に対する殺人以外に、試し打ちをした際の建造物損壊とか、複数の訴因があって、犯行に使用した手製銃の銃刀法違反といったものは起訴がやむを得なかったとしても、必ずしも必須ではない訴因が余計につきすぎている面はあるように思います。訴因が複数あれば、それぞれについて検察の立証、弁護側の反証が出てきますから、公判運営をどうするかにもよりますが、どうしても訴訟は長期化します。

昔話になりますが、オウム真理教に関する刑事事件でも、当初は、地下鉄サリン事件サリン中毒になった数千名の人々を殺人未遂の被害者として訴因に掲げたり、オウム真理教による薬物密造事件といったものも起訴対象にしていましたが、訴訟促進のため、後になって、訴因変更したり起訴を取り消していたことが思い出されます。

本件では、被告人が銃撃してそれで安倍氏が死亡したという事件の骨格部分には、おそらく争いがないでしょう。ただ、動機面で、親族と旧統一教会との関係やそれにより被告人が忍従を強いられたといった背景事情があり、そこをどの程度、立証を許すかによって、公判にかかる期間は大きく変わってきます。前例のない事件であり、裁判所も、検察、弁護人も手探りで進めざるを得ず、長期化は不可避でしょう。

拙速に進めるのではなく、国民の関心ということも十分に視野に入れながら、争点に即した充実した準備、審理をしてほしいと思います。