初公判4日前に起訴取り消し 不正輸出事件で異例の判断

初公判4日前に起訴取り消し 不正輸出事件で異例の判断(産経新聞) - Yahoo!ニュース

両氏は昨年3月に警視庁公安部に逮捕されて以降、今年2月に保釈されるまで1年近くにわたって勾留された。両氏とともに逮捕された同社顧問の男性は体調の悪化により勾留の執行が停止され、その後死亡したため東京地裁が公訴棄却を決定していた。

地検公判部によると、起訴後に被告側の弁護人からの主張を踏まえて再捜査した結果、装置が貨物の輸出規制を定めた省令に該当しない可能性が浮上。「定置した状態で内部の滅菌または殺菌をすることができる」という要件を満たすかどうかに疑問が生じ、追加の立証には相当の期間を要するため、被告側の刑事裁判の負担を考えて起訴の取り消しを決めたという。

警視庁公安部が立件する、こうした事件では、通常、逮捕前に東京地検公安部へ事前相談があり、その際に、上記のような法令上の問題点は俎上に登っているはずです。また、実際に逮捕して事件送致され、起訴するまでの間にも、検察庁において、有罪判決が確実に獲得できるかどうかという観点で証拠関係が検討されているはずで、それにもかかわらず、上記のような展開になったということは、特に検察庁における検討が不十分であった可能性が高いと言わざるを得ないでしょう。

特捜部におけるような、注目を浴びる派手な事件だけでなく、こうした派手さはない事件をきちんと処理することも、検察の重要な職務であり、反省すべき点は反省した上で、再発防止に努めてもらいたいという気がします。