「ヒトラーに傾倒した男」

 

昨年、NHKのBS 1で放映された

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を書籍化したもので、最近、書店に行ったら並んでいて、番組も観ていたので興味を感じ、早速、買って読みました。

駐独大使にまで上り詰めた大島浩の、日独伊三国同盟体制構築への傾注や、ヒトラーなどナチス幹部との親密な関係から親独情報を次々と発信して日本の国策を誤らせたことは有名ですが、本書では、戦後に行われた大島へのロングインタビューでの大島の述懐を紹介しつつ、その歩みをたどっています。番組では、時間の関係であっさりと済まされていたことが、詳しめに紹介されていて、なかなか読み応えがありました。

読み終えて感じたのは、日本のように、特に戦後は世界の中での一大パワーとして存立できず、最近では国力もめっきりと衰えているような国は、特定の国に過度に依存したり結びついたりしてはいけない、ということでした。かつてのナチス・ドイツとそのような関係を取り結んでしまい、英米やその関係諸国と決定的に対立し、甚大な犠牲を出し国土は焦土と化して敗戦へと追い込まれていった、その教訓は今に生かさねばならないでしょう。憎悪や対立をできるだけ緩和、解消する中で、日本の平和な存立を図っていくべきことを、改めて痛感しました。