アウシュビッツ行 最終列車 ヒトラー第三帝国ホロコースト

ベルリンから家畜用貨車に押し込められ、アウシュヴィッツへと輸送される人々の、水もなく食べ物もない、実に過酷な状況の中での様々な人間模様が描かれた作品でした。先日行ったビルケナウの「地獄の門」を入って、しばらく行ったところの線路上に、1台の貨車が展示してあり、

2014年3月 アウシュヴィッツ・ビルケナウ

これは、比較的最近発見された当時のものだと、現地ガイドから説明を受けたのですが、正に、「シンドラーのリスト」やこの作品に出てくる貨車そのもので、このような貨車に乗せられて遠路を運ばれてきた人々は、それだけでも実に苦しかっただろうと感じた、その様子が、この作品では丹念に描かれています。この作品でもそうなのですが、水がない苦しみは、シンドラーのリストでも、シンドラーが貨車のそばで、水を与えてくれと依頼して貨車に放水がされて、貨車内の人々が水を求めて貨車の開口部に我先にと群がる様子が描かれていたことが思い出されました。
救いのない作品(ホロコーストものはどれもそうなのですが)の中で、通りすがりのドイツ兵がナチス親衛隊と対立しながら貨車内のユダヤ人に食べ物を与える場面など、やや救いを感じるシーンがあったことが印象に残りました。
ユダヤ人を輸送する貨車内を、ここまで丹念に描いた作品は珍しいと思われ、印象に残る作品となりました。