石橋湛山に関する本は、Kindle本も含め数冊持っているのですが、なかなか通読できておらず、新しく出たこれをまず読んでみようと思い、通読してみました。石橋の戦後の歩み、首相への道のりが丹念にたどられていて、よく語られる言論人とは別の、正統人としての石橋の姿がよくわかります。
政争の中で公職追放になったり、首相にはなったものの病気のため在任僅かで退陣せざるを得なかったりと、石橋の政治家としての歩みは順風満帆なものではありませんでした。しかし、軍国主義に抗し、膨張主義を戒め小日本主義を唱え、戦後もGHQ、米国の言いなりにはなろうとせず日本独自の国益を考え続けた先見の明、勇気あるその姿、思想は、日本がどのような状態になっても、あるべき日本を指し示す松明のような存在として、今後も燃え上がり続け、我々を導き続けるだろうということを、通読して強く感じるものがありました。