津波予見可能性、どう判断=旧経営陣、全面対決-東電公判19日判決・東京地裁

津波予見可能性、どう判断=旧経営陣、全面対決-東電公判19日判決・東京地裁(時事通信) - Yahoo!ニュース

指定弁護士側は「敷地高を超える津波予測を聞いた時点で、自ら情報収集し、安全対策を進める義務が生じた」と主張。武藤副社長については、「研究実施」と聞いた部下が「対策を先送りにされた」と証言したなどと厳しく非難し、武黒元副社長も先送りを知っていたとした。
これに対し弁護側は、3人が報告を受けた経緯を認めつつ、「津波高は試算にすぎない。対策が必要なら追加報告があったはずだが、何も聞いていない」と反論。「研究」発言についても「先送りではない。研究で専門家の意見を聞くのは合理的判断」と反発した。

 指定弁護士側、弁護側は、巨大津波予測の根拠となった長期評価の信用性をめぐっても激しく対立。信用性が否定されれば、「最大15.7メートル」の津波高の信頼性も大きく揺らぐ。この点は、証人として出廷した専門家ら間でも見解が割れており、地裁の判断が注目される。

従来の刑事裁判実務での「予見可能性」「予見義務」の判断は、結果回避義務の前提として、具体的なものが要求されてきた傾向にあり、「そういうこともあるかもしれない(ないかもしれない)」といった程度では、過失責任は認定されてこなかったと言えると思います。

しかし、本件の特殊性は、原子力発電所という、極めて高度の安全性が求められる施設を巡るものであり、全電源喪失という事態が起きた際の深刻さも、通常の事故とは大きく異なるものでしょう。

そういった本件の特殊性、特異性や、それに応じた注意義務の在り方といったことを、裁判所がどこまで重視して踏み込むかによって、有罪、無罪が分かれるのではないかと私は見ています。

判決結果が注目されます。