<東電強制起訴裁判>旧経営陣が巨大津波予測の可能性を否定

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180208-00000110-mai-soci

一方の弁護人側は、02年に文部科学省地震調査研究推進本部(推本)が「福島県沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした長期評価について、防災を担当する内閣府の担当職員が「あやふやな情報は無用な不安を与えるため、公表を控えるべきだ」とのメールを推本事務局に送信していたと明らかにした。
さらに、東電が原発事故後に実施したシミュレーションで、福島第1原発の沿岸全面に海抜16〜24メートルの防潮堤を設置していなければ津波の浸水は防げなかったと結論付けていたと指摘。捜査した東京地検も、東電が08年に試算した「15.7メートルの津波」を想定した対策を取っていても、事故は防げなかったとする捜査報告書をまとめていたと明らかにした。

過失犯成立にあたっての予見可能性については、複数の考え方がありますが、刑事実務上は、結果回避へとつながる、具体的な予見可能性が必要であると考えられています。それと当時に、結果回避へつながる手段は、ケースによっては複数あります(結果を阻止する道筋が複数あれば、という意味で)。
指定弁護士がどういう立証をしているか、詳しくはわかりませんが、全電源喪失という事態を避けるために、防潮堤建設だけが唯一の方法ではなかったのではないか、他にもあったのであれば、具体的な予見可能性の下で、やるべきことをやっていたのかという観点は必要でしょう。
過失犯の主張、立証は、事件ごとに、あるべき注意義務について、「絵を描く」ことが必要で、それだけに難しさがあるものです。