刑事告訴で裁判は開かれる? 「鳥越氏vs.週刊誌」で誤解されていること

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160805-00000014-wordleaf-soci&p=1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160805-00000014-wordleaf-soci&p=2

ネットユーザーの一部が誤解をしているのは、刑事告訴すれば必ず裁判(公判)が開かれると思われていることです。公判が開かれるのは、今回の場合で言えば東京地検が文春、新潮の嫌疑を認めて起訴した場合のみです。
仮の話ですが、今後、鳥越氏側が告訴を取り下げることや告訴不受理も予想されます。「真実相当性」の判断によっては嫌疑なし・嫌疑不十分で不起訴もあります。そうなった場合は当然のように裁判は開かれません。

報道機関が、それなりに裏付けを取って報じて、という流れを踏んでいた場合、それでも、裏付け不十分といった理由で、民事での損害賠償や記事の削除、謝罪広告が命じられることはありますが、刑事で起訴までされるというのは、よほど裏付け不十分というかなり例外的な場合(現実にはかなり考えにくいですが)以外はなく、刑事で告訴が出ても、嫌疑不十分といった理由で不起訴になるのが通常です。
それなりになぜ刑事で告訴を、ということについては、告訴する側に、例えば、

・告訴して、そのことを皆に喧伝して正当性を強く印象付けたい
・民事まではやるつもりがないが、刑事では告訴してけじめをつけたい、相手に一定の打撃を与えておきたい

といった、様々な思惑があることもあって(鳥越氏がそうだと言っているわけではなくあくまで一般的な話です)、一定の期間が経過すると、結論が出る前に告訴取り下げになることもあります。鳥越氏のケースのように、告訴したことを公表すれば、世間の多くの人がその事実を知ることになりますが、通常は、告訴しても、そのことがすぐに告訴された側に伝わるわけではなく(弁護士でもたまに勘違いしている人がいますが、民事の訴状のように告訴状が被告訴人に送達されたりはしません)、知られないままで告訴取り下げになって終わり、ということは割とよくあることです。
鳥越氏のケースも、民事で提訴すれば民事裁判が開かれますが、刑事については、告訴が維持されている限り捜査が粛々と進み、いずれ結論が出て、という経過をたどり、一般的な傾向に照らすと(もちろん証拠次第ですが)、不起訴処分になる可能性がかなり高いとは言えると思います。