この連休中に、映画館へ行って観てきました。結論から言うと、割とおもしろく、飽きずに観られましたが、映画としては、前の2007年のほうが盛り上がりがあって、少し良かったかな、という感じでした(あくまで個人の感想です)。なお、私は、2007年の映画まではリーガルアドバイザーでしたが、その後は一切関わっていませんので、あくまで一観客としての感想になります。
(以下、ネタバレ注意)
大使館に対する捜査、ということで、どうするのかな、と思っていたのですが、検察庁職員という身分を隠して接近する、パーティーに潜り込む、という、公権力の行使として、やや、いかがなものかな、というもので、確かに、これくらいしかできないだろうな、とは思いましたが、もう少しサプライズがほしい気がしました。大使が良い人だったので事件が進展してめでたし、めでたし、というのは、現実にはかなりあり得ないだろうな、という気がしました(大使との交流には心温まるものがありましたが)。
個々の検事、事務官のキャラクターのおもしろさは、引き続き良く描かれていて楽しめましたが、検事になった雨宮と久利生との交流が、今ひとつ不完全燃焼という感じで、次作へとつながる伏線が張られている感じはありましたが、私的には今ひとつ心に響くものがなかったな、という感じがありました。
外務省の局長が検事を呼びつけて怒っていたり(それも法務省の赤レンガ内で、笑)、最高検監察指導部が法廷のような場所で検事を呼びつけて査問のように問い詰めていたり、ドラマなのでおもしろく作っているのはわかるのですが、リアリティという点ではちょっとどうだろうか、という印象はありました。検事や事務官が、忌引をでっちあげて実は組織の方針に反する仕事をしている、というのは、現実にやったら処分の対象になりそうなので、良い子は真似をしないようにしてください(笑)。
そもそも、大使館員、それも高級職員が、暴力団と通じて薬物を密輸する(映画の描かれ方では大使館員の特権を利用して密輸する)というのは、あまりにもリスクが高すぎ、しかも、薬物と金の受け渡しを、人目に触れやすいオープンカフェのようなところでやっていて、それはないだろうな、というのが率直な感想でした。大使館関係者が暴力団と通じて検事を殺害しようとすれば、警察で捜査本部が立ち上がり大変なことになるはずで、支部の検事や事務官がちょこちょこ動いて、程度では済まないでしょうし、そもそも、検事1人を殺害してどうなるものでもなく、あまりにもハイリスク過ぎてやる人間はいなさそうな気がしましたが、そこはドラマですから許容範囲かもしれません。プロットの練り方が今ひとつと言っては厳しすぎるでしょうか。
とはいえ、全体として楽しめるエンタテインメントになっていて、後味も悪くなく、あまり細かいことは考えずに(私のように)、すかっと楽しめる映画になっていると思いますので、皆さん、どんどん観に行ってください。