裁判員裁判の死刑判決 認めず

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/t10015214831000.html

最高裁判所で審理されていたのは6年前に東京・港区と千葉県松戸市で起きた2つの強盗殺人事件の裁判で、いずれも1審の裁判員裁判は死刑、2審は無期懲役と判断が分かれていました。
最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は決定で、「死刑は被告の生命を永遠に奪い去る究極の刑罰で、慎重さと公平性を確保しなければならない。そのためには、これまで積み重ねられてきた過去の裁判例で、犯行の性質や計画性などといった判断要素がどのように考慮されてきたのかを踏まえた議論が不可欠だ。これは裁判官のみの裁判でも裁判員裁判でも変わるものではない」と述べました。
そのうえで、1審の死刑判決は過去の裁判例と判断が異なるのに具体的で説得力のある根拠が示されていないと指摘しました。
この決定により、いずれも2審の無期懲役が確定することになりました。
過去の裁判例を踏まえるよう強く求めた今回の決定は、裁判員裁判であっても死刑の適用には慎重さと公平性を保つ必要があることを示したもので、今後の裁判に大きな影響を与えるとみられます。

女子学生殺害 死刑判決破棄で上告
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20131022#1382407535
千葉大生殺害:裁判員裁判の死刑破棄 東京高裁は無期判決
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20131010#1381368743
<青山強盗殺人>死刑破棄し無期 裁判員裁判で初 東京高裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130620#1371710017

でコメントした事件についての、最高裁の判断が出ましたが、最高裁が「過去の裁判例を重視すべきである」との指針を示したことは、今後の死刑適用が問題となる事件への影響が大きいでしょう。
裁判員裁判で、国民の意見を裁判に反映させることは大切なことですが、その一方で、特に死刑のような、人の生命を奪う究極の刑罰にあっては、過去の裁判例で積み重ねられ形成されてきた「枠」を、合理的な理由、根拠もなく踏み越えることができない、ということであろうと思われ、最高裁としても、ここは、司法としての、死刑という刑罰に臨むにあたっての基準を示しておかなければならないと考えたのではないかと推測されます。
この判例を踏まえ、今後とも、死刑適用の可否を決するに当たっては、慎重な上にも慎重な検討が行われることが望まれます。

追記:

平成27年2月3日最高裁第二小法廷決定(2件、上告棄却)
判例時報2256号106頁