世界の特殊部隊作戦史1970-2011

世界の特殊部隊作戦史1970‐2011

世界の特殊部隊作戦史1970‐2011

こういった分野の、過去の作戦については、インターネットで検索すると散発的に情報が出てくるのですが、情報の出所が不明であったりして不便なものです。昨日、書店へ行ったところ、これを見つけ、便利そうだと思って、早速、購入しました。
全部で31章に分かれ、中には1章で複数の作戦が紹介されているものもありますが、概ね、1章につき1つの作戦が紹介されています。最近、映画の関係で改めて話題になっている、オサマ・ビンラディン殺害作戦も紹介されています。
少しずつ読みながら、こうした特殊部隊の作戦史は、成功したものも失敗したものも、奇襲、集中、殲滅(味方の被害を最小限にとどめた上で)、といった、様々な場面に敷衍されるべき、本質的なものを学ぶ上で、かなり役立つものである、ということを改めて感じています。今のところ、特に印象に残ったのは、第3章で紹介されている、ミュンヘンオリンピック事件(アラブゲリラによるイスラエル選手団人質事件)で、無力なまま人質全員殺害という悲惨な結果に終わらせてしまった西ドイツが、GSG9を創設し、ルフトハンザ航空機ハイジャック事件でソマリアモガディシオ空港に強制着陸させられた同機にGSG9が強行突入し、特殊閃光弾(スタン・グレネード)を効果的に使用して、犯人を制圧した上、人質全員の救出に成功した作戦(フォイアツァウバー、「魔法の光」作戦と呼ばれていることは本書で初めて知りました)でした。失敗に真摯に学ぶことが必要、という意味では、遠隔操作事件で苦杯をなめた日本警察も、こうした過去の歴史に学ぶ必要がありそうです。
各章は、情緒的、散漫な記述が排されて事実のみで簡潔にまとめられており、日本語訳も読みやすく、手元に置いておく資料としての価値もありそうです。