日本人2人の身代金支払い、明言避ける政府

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150122-00050115-yom-pol

官房長官は22日の記者会見で、他国のケースを含めたイスラム国への身代金支払いの可否について、「人命最優先は国家にとって当然のことだ。同時にテロに屈することはない」と語り、明言を避けた。

私は弁護士ですから、いろいろな交渉をすることもありますが、相手の要求に対して、「ゼロ回答」であれば、その後の交渉は、相手の立場が非常に弱いものであるといった事情がない限り、成立しません。人質事件では、人質を取っている相手が強力なカードを持っているわけですから、身代金要求に対し出せないと断言して他の可能性を検討する余地がないと見せれば、人質は確実に死ぬでしょう。イスラム過激派にとって、こうした手法は「ビジネス」であり、身代金支払を拒否されて人質を解放してしまえば、今後、ビジネスに多大な支障を来します。手間暇をかけて儲け損なったことを悔やみながらも、今後のために人質を情け容赦なく殺害するのは確実です。
しかし、交渉する、相手の要求を、丸呑みは無理だが前例(身代金支払による解放例)も参考に検討する余地はある、という姿勢を見せれば、相手は、ビジネスを成就させるために交渉してくるでしょうし、交渉期限の延長にも応じてくる可能性が出てきます。上記のような官房長官等の発言は、おそらく、そういったことを意識してのことではないかと推察されるものがあります。
政府には、人命優先を第一にして、マスコミにサービスしたり不用意な政府高官の発言で足並みの乱れや足下を見られるといったことにならないように、一枚岩で一丸となってこの事件に対処してほしいと思います。
表現は自由ですが、自らの「自由な」表現で、人質の生命に危険が及んだりしないように、日本国民も慎重にこの事件に臨む必要があるでしょう。
他人事と思っていても、いつ、誰がこのような被害に遭うかわかりません。明日は我が身、だと思います。現に危難に遭遇している人を救出することは、明日の自分を救出してもらうことにつながるものだと私は感じています。