チノパン、50万円くらいの罰金刑か 書類送検へ

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130105/dst13010510110001-n1.htm

処分は、略式で50万円くらいの罰金刑となる公算が大きい。

こういった自動車による死傷事故について、検察庁が処分を決めるにあたっては、求刑基準という、内部で定めた基準があり、被疑者に不利な情状(結果の重大性、過失の悪質性、事故後の慰謝の措置が不誠実等々)をプラス点、被疑者に有利な情状(被害者の落ち度、示談成立や事故後に慰謝の努力、被害者や遺族が宥恕等々)をマイナス点にとって(各事情を類型化して点数化してあります)、その総合点で、基準上の求刑が出るようになっています。それで機械的に決める、というわけでもなく、求刑基準に現れない事情も考慮はしますが、同様の事情があれば同様の処分、求刑になって不公平にならないように、ということで、そういう仕組みになっています。なお、現在は知りませんが、かつては、交通事件を担当する裁判官にも、求刑基準は渡されていて、それも参考にしつつ量刑が検討されていました(あくまで参考資料で、求刑基準に拘束されていた、というわけではありません)。
私の記憶では(検察庁を辞める前の求刑基準ですが)、交通死亡事故の場合、普通に求刑基準にあてはめると、結果の重大性から、公判請求になっていたはずで、おそらく、現在もそれは変わっていないと思います。上記のようなマイナス点を大きく取ることができるような事情がいくつかあれば、罰金求刑、略式手続による処理も不可能ではない、という求刑基準だったという記憶で、おそらく、現在もそうでしょう。現在、自動車運転過失致死傷罪の罰金刑は100万円までで、略式命令で100万円までの罰金を科することができ(かつては20万円、50万円という時代もありました)、千野アナの事故原因は右前方不注視のようで、過失として特に悪質、というわけではないと認められますから、今後の慰謝の措置や示談の成否、ご遺族の意向によっては、罰金刑もあり得る、というところでしょう。