<情報漏えい>ソフトバンク元店員3人を書類送検 愛知県警

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121010-00000056-mai-soci

愛知県警は10日、ソフトバンクの販売代理店の元店員で無職の女3人を、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で名古屋地検に書類送検した。捜査関係者によると、ソフトバンクを巡る一連の漏えい事件で、3人を含む元店員計7人が2100件以上の個人情報を探偵に漏らしていたという。

この件では、漏洩された情報が「営業秘密」と捉えられたため不正競争防止法違反での立件になった、ものと思われますが、この種の行為を一般的に処罰する法律はない(公務員など特定の身分がある者を除き)のが現状です。
こういった行為を、刑法上の背任罪(他人の事務を処理する者による任務違背行為)と捉えて有罪とした下級審裁判例がありますが、任務違背行為は財産上の行為に限られるのではないか、財産上の損害をどこで捉えるのかなど、問題が指摘されていて、実務上で背任罪による立件はほとんど行われていないのが実態です。
公務員等に限られず、秘密を守るべき義務を明確に負っている者が、秘密を漏洩することが刑事処罰に値する場合は、特に個人情報保護の必要性が高まっている中、増えていると言えるでしょう。また、秘密を漏洩するだけでなく、個人情報を、例えば偽装したアプリをスマートフォンにダウンロードさせ「抜く」形で不正に取得する、といった行為も、違法性が高く刑事処罰に値する場合が多いのではないかと思います(現行法上は不正指令電磁的記録供用罪で処罰が可能ですが、「情報の取得自体」が処罰されているわけではありません)。
この種の行為を、処罰が不当に広範囲に渡らないように犯罪構成要件を工夫しながら、新たな刑事立法により、現状よりも広く処罰対象にすべき時期に来ているのではないかと思います。