北アの遭難、生かされなかった防寒着 猛吹雪で判断力低下か

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遭対協によると、7日現場から回収されたリュックは4個で、容量はいずれも60リットル程度。全てに薄いダウンジャケットが入っていた。現場には「ツェルト」と呼ばれる簡易テントが残っていた。回収した山岳関係者は「全然軽装じゃない」と言い切った。
なぜ、持っているのに着なかったのか。専門家は「着込むタイミングの難しさ」を指摘する。「行動中は体温が上がり汗をかくため、悪天候時でもあまり着込まないこともある」と話すのは、登山用品店「カモシカスポーツ」(東京都)の佐藤日出雄統括部長(60)。

周囲は踏み固められ、ツェルトをリュックから出して使おうとした形跡があった。
山の事故に詳しい関西大の青山千彰教授(危機情報論)は「医師もおり、低体温症の知識はあったはず。防寒具を使わなかったのは重症化が急激に進んで判断力が低下したからでは」と推測する。

当初の報道では、不十分な装備で山を甘く見た結果の事故、という様相を呈していましたが、上記の記事を見ると、決してそうではなく、急激な天候の変化への対応が遅れた故の悲劇、という可能性が高いようですね。この事故がそうだ、というわけではありませんが、経験が豊富であると、豊富な経験故に、過去の経験にあてはめてしまい状況判断を誤る、といったことが起きることがあります。かえって経験がないほうが、見通しのつかなさや不安さ故に早目の対応をして、危機を回避できるということもあるものです。遭難した人々にも、そうした面があったのかもしれない、などと、経験が豊富な部類に入れられつつある私自身としても、この事故からいろいろと重い教訓を感じ、汲み取っているところです。
当時の天候の推移や、遭難者の、推測できる行動状況を、今後、解明して、再発防止へと結びつけることが、遭難者の犠牲を無にせず今後へ生かすことになり、せめてもの供養になるのではないかと思います。