「AKB48の握手券は有価証券」偽造の被告に有罪判決

http://www.asahi.com/national/update/0825/TKY201008250350.html

握手券が刑法上の「有価証券」にあたるかが争点となったが、判決は「ネットオークションで売買されていることなどから、財産的価値があるのは明らかで有価証券にあたる」と判断し、弁護側の無罪主張を退けた。

刑法上の有価証券は、判例上、「財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするものをいう。」とされ、商法上の有価証券よりも幅広く認められています。本件では、握手することが「財産上の権利」と言えるか、それが証券上に化体(要するに、権利が証券上に乗っている、ということ)されているかが問題でしょう。
握手券は、CD購入者が入手できる仕組みになっていたようであり、単なる無料のファンサービスとは異なり一定の金銭拠出と引き替えに交付されれるという性質上、財産上の権利という評価が可能で、また、握手券がないと握手ができないという仕組みに照らせば、そういった財産上の権利が証券に化体されているという評価も可能でしょう。
ただ、これが、当初、無料で配布されていたものが、事実上、価値が出てネットオークション等で取引されるようになった場合に、それまでも有価証券と言えるかどうかは、有価証券偽造罪の保護法益(有価証券に対する公共的信用)に照らしても疑問で、握手券についても、あくまでCDの「おまけ」でついていたもので、それをもって財産上の権利とは言えない、という考え方も成り立つ余地はあるようにも思います。
今後の上級審の判断があれば、それも見てみたい気がします。