【迫る裁判員制度】間接証拠のみの模擬裁判、全員一致で無罪

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000950-san-soci

今回は泥酔した知人の腹を踏みつけて死亡させた傷害致死事件。被告は否認し、被告が被害者の腹を踏みつけたか−が争われた。
検察側は、知人の証言や被害者の着衣に残ったサンダル跡などの間接証拠から、犯行時に被害者と一緒にいたのは被告だけで、サンダルは被告のものと推測できる上、被告が知人に暴行を告白したと主張。評議では、多くの裁判員が「サンダル痕が被告のものとはかぎらない」など間接証拠に疑問を呈し、「被告の犯行とは言い切れず、第三者の犯行の可能性も否定できない」と指摘。「間接証拠だけでは、有罪との確信が持てない」と結論付けた。

状況証拠による認定は、事実認定としてもかなり難易度が高く、事実認定に習熟していないと、なかなか判断が難しいものです。それだけに、事実認定に習熟していない(当然のことですが)裁判員が、そういった立証にどこまで対応できるものなのかを試すために、敢えて上記のような事件で模擬裁判をやってみたものと思います。
記事では、検察官役が「従来なら有罪が見込めた。間接証拠を総合的に判断してほしかったが、個別に判断された」と指摘していたとされていますが、今後は、特に裁判員が関与する裁判で、こういった立証により有罪判決を獲得することが困難となり、状況証拠に依存、依拠した立証ということにかなり制約が生じる可能性もありそうです。