【ライブドア事件】堀江被告、失敗した法廷戦略

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/164117/

刑事裁判では一般的に、罪を認めて反省を示すことや被害者に弁償を行うことが、被告にとって有利な情状として考慮される。堀江被告が上申書を提出したのも、裁判官に反省する姿をアピールし、執行猶予を狙ったためとみられた。
ただ、堀江被告は、あくまで無罪主張を続けた。それに加えて、ライブドア株主から、株価下落による損害賠償を求められている民事訴訟でも、責任を認めず争う姿勢を崩していない。すでに一部の株主と和解し、資産を和解金の支払いに充てている宮内亮治被告とは対照的だ。高裁は「犯行についての反省はうかがえない」と一蹴した。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080724#1216859639

で予測したような判決結果でしたが、弁護士という立場からは、「失敗した法廷戦略」と簡単に片付けられないものを感じます。
自白で行くか、否認を通すか、というのは、なかなか選択が難しい問題である上、否認で臨み一審で実刑など予想以上の重刑となった場合、同じ方針で控訴審も臨むのか、ということも、なかなか悩ましい場合が少なくありません。思い切って自白に転換し、情状面の立証を充実させて成功する例もありますが、否認から自白へと安易に転じた、とも受け取られかねず、控訴審での情状立証といっても遅きに失したと判断されることも大いにあり得ることで、失敗例も多く存在します。
堀江被告人の場合、否認の主張を維持したまま、反省しているという姿勢を裁判所に認めてもらおうとしたようですが、その中途半端さが、おそらく裏目に出てしまった、ということになるのでしょう。では、思い切って自白に転じていれば執行猶予を獲得できたかということになると、それほど甘いものではない、ということにもなりそうです。
刑事裁判、刑事弁護の難しさは、こういった面にもあり、弁護人としても、様々な不確定、流動的な事情から法廷戦略を組み立てなければならず、なかなか悩ましいものである、ということを、この記事を読んで、改めてしみじみと感じました。