増える無罪判決、否認事件では2・9%で過去最高

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080630-00000991-san-soci

最高裁によると、昨年中に1審判決があったのは6万9238人。うち公判で起訴事実を否認した被告は4904人だった。
1審で起訴事実がすべて無罪になったのは99人で、無罪率は0・14%。これに対し、否認事件での全部無罪は97人、一部無罪は48人で、両方を合わせた無罪率は2・91%になった。
否認事件の無罪率(一部無罪を含む)は、平成14年までは1%台で推移していたが、15年には2・1%となり、以後2%台になっている。

無罪になる事件には、それぞれ固有の事情がありますから、上記のような「率」の推移で、直ちに一定の傾向を読み取ることはできないものの、「何か」が変化しつつあることは確かなようです。捜査が雑になっているのか、以前よりも思い切って起訴し裁判所の判断を仰ぐという傾向に検察庁がなっているのか、あるいは、裁判所の事実認定が安易に有罪としない方向で厳格化しているのか、等々、それらの原因が複合している可能性も含め、いろいろと考えられるでしょう。
従来、日本の検察庁は、有罪率の高さを誇ってきましたが、その陰には、本来、裁判所の審理の中で結論が出されるべきものを、無罪を恐れ起訴しないことで高い有罪率を維持してきた、という側面もあると思います。起訴される、ということは、それ自体が被告人にとっては多大な負担であり、安易な起訴が許されないのは当然のことですが、一定の(どこまでの「一定」が適当かは悩ましいところですが)無罪が出る、ということは、刑事司法が健全に機能していることの現れとも言え、上記のような無罪率が、今後、どのように推移して行くのか、注目したいと思います。