元教諭に2審も罰金刑 板橋高校卒業式妨害事件

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080529/trl0805291845020-n1.htm

裁判長は「被告の行為は厳粛であるべき式典の進行を停滞させた」と罰金20万円とした1審東京地裁判決を支持、被告側の控訴を棄却した。被告側は即日上告した。

威力業務妨害罪における「威力」については、判例上、「人の自由意思を制圧するに足る勢力」とされ、暴行、脅迫よりは広いものとして捉えられており、

判例においては、威力の概念は拡張され、公然と行われる妨害行為が広く含まれるに至っている。
山口厚・刑法各論補訂版162頁)

とされています。国歌斉唱の際に不起立を呼びかける発言をしたことが「威力」と評価されたようですが、従来の判例の傾向に照らすと、威力ではない、とは言いにくいものの、この程度の行為は、各種紛争の過程においてはよく見受けられるものであり、そのほとんどは刑事事件として立件されることがないのに、なぜ、敢えて本件が立件されてこのような状態に至っているのか、という疑問を感じる人は少なくないでしょう。
法自体は平等であるように作られていても、法の「適用」、特に捜査の対象にする、しない、起訴する、しないという問題においては、恣意的に運用され、不平等がまかりとおる国に、日本がなってしまっていて、そういった恣意性、不平等は裁判所にも救済してもらえない、という社会に我々は生きている、ということなのかもしれません。国策捜査、という問題も、そういう中で起きている、ということも言えるでしょう。