有罪か無罪か、裁判員に判断のコツ解説…最高裁が説明案

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070512i1w6.htm?from=main1

あるベテラン裁判官は「『必要な証明の程度』が正しく理解されないと、犯罪の立証にほとんど影響しないようなささいな疑問で無罪にする恐れがある」と話す。このため最高裁は、審理の前に、検察官、弁護士も同席の場で刑事裁判の原則を説明することにした。
説明案では、「過去に、ある事実があったか、なかったかは直接確認できませんが、普段の生活でも関係者の話などを基に判断している場合があるはずです」と、日常生活に引き付けて解説。「裁判では不確かなことで人を処罰できません。証拠を検討した結果、常識に従って判断し、被告人が罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に有罪とします。逆に、有罪にすることに疑問があれば、無罪にしなければなりません」としている。

何が「合理的な疑いを入れる余地がない証明」か、ということは、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060115#1137292393
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050227#1109433675

でもコメントしましたが、非常に難しい問題で、私のような、ある程度経験がある実務家でも、常に迷い、考えることです。裁判員に明解に説明し、わかってもらう、ということ自体が、そもそも無理だと思います。
そもそも、上記の「ベテラン裁判官」が言うような「犯罪の立証にほとんど影響しないようなささいな疑問」かどうか自体が問題になるもので、そういう問題意識を持たずに、解説ばかりしても、結局、問いに対して問いで答える堂々巡りになってしまう恐れがあるでしょう。
最終的には、評議の席で事件に対する疑問をどんどん出してぶつけ合い、疑問が解消されなければ無罪、といったことで進めるしかないように思います。