利益供与に絞り捜査 福島談合事件で東京地検

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006102201000372.html

特捜部は選対幹部らから事情聴取し、公選法違反の買収容疑などの本格解明を目指したが、既に知事選から2年以上が経過していることや26日に前知事辞職に伴う出直し選挙が告示されることなどから、慎重に対応する方針に転じたとみられている。

公職選挙法違反の捜査は、選挙後、直ちに着手して、長くても3か月以内くらいに終結させるのが捜査の慣例で(例外もありますが)、2年以上も前の公選法違反事件を立件することは、そういった一般的な取り扱いからはずれ、いかにも特捜部が立件できる事件がないので焦って立件し、苛察にわたっているような印象を与えるとして、高検、最高検あたりからブレーキがかかった可能性があるでしょう。
検察庁は、捜査が政治に影響する(影響したような印象を与えることを含む)ことを嫌うので、上記のような、知事選への影響も考慮した、ということも、その真偽はわかりませんが、うなずけるものがあります。
捜査の出口をどこに求めるかについて、様々な検討が続けられているのでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061015#1160873988

追記:

<福島談合>前知事を逮捕へ 収賄容疑で東京地検
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061023-00000050-mai-soci

スーツ社はこの土地を担保に01年、前田建設工業(東京都千代田区)側から4億円を借り入れ、02年8月に水谷建設に8億7000万円で売却し、前田側に借金を返済。さらに翌9月、祐二被告の経営する紳士服販売会社「オックスフォード」(06年3月清算)を経由する形で水谷側から1億円の融資を受け、03年2月に跡地売却代金を1億円上乗せする契約変更を実施した。3日後の同年3月、この1億円を返済していた。
この土地取引前の00年8月、前田建設が参加する共同企業体は県発注の木戸ダム(同県楢葉町)工事を約206億円で受注し、水谷建設も下請け工事を請け負った。水谷建設元会長の水谷功被告(61)=法人税法違反(脱税)で起訴=は、特捜部の調べに「ダム工事を受注した見返り」と認めていた。佐藤前知事は02年5月までスーツ社の取締役で、現在も筆頭株主となっている。
 こうしたことから特捜部は、土地代金の上乗せ分の1億円がわいろに当たり、実態解明のためには前知事への強制捜査が不可欠と判断したとみられる。

これが賄賂だったとしても、賄賂性をカムフラージュするため、いろいろな商取引が仮装されていることは確実で、知能犯捜査でよく言われる「筋の良し悪し」で言うと、あまり筋の良い部類には入らないような気がします。
贈賄側に時効が成立している、ということも、今後、捜査を進める中で贈賄側の取り調べを行うとしても逮捕・勾留はできず、限界が露呈してしまう恐れもあるでしょう。
収賄の嫌疑はかなり濃厚かもしれませんが、事件としてどこまで解明できるかということになると、まだ、いくつかのハードルがありそうな気がする事件です。