“誤認逮捕”の少年に無罪判決

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/10/21/04.html

事件は5月23日、甲斐市のJR塩崎駅前で、男に連れ去られそうになった女児が防犯ブザーを鳴らしたため男は逃走。一緒にいた小学2年女児が携帯電話のカメラで撮影した写真を基に、県警が少年を逮捕した。
しかし、佐藤美穂裁判長は「犯人と判断する十分な証拠がない。犯行を認めた上申書も信用性に乏しい」とした。携帯電話の写真については「女児らはいったん犯人を見失った後に少年を撮影している。少年を犯人と判断した根拠は乏しい」と指摘した。さらに「女児らの証言では犯人は黒い靴を履いていたが、少年は当日白い靴だった」と矛盾点を挙げた上で「少年が犯人かどうかを女児に判断させた警察の面通しも、誘導性、暗示性の強い方法だった」と批判した。

新聞の片隅にひっそりと載っているような事件ですが、このような事件でも、

1 「写真」を伴った証拠、ということで、過度に信用されすぎてしまったということ(一旦、犯人を見失った後の撮影と認定)
2 不適切な方法による面通しの信用性が否定
3 録画・録音がない密室での取り調べについても、結果として作成された調書等について信用性が否定

と、いろいろな教訓を含んでいます。
裁判員制度が開始されたら、この種の「無罪」判決が次々と出る可能性があり、捜査機関は、危機感を持って従来の捜査手法を見直す必要性が高いと思います。
今まで、裁判所に「救済」されてきた部分が、救済されなくなると思ったほうが良いでしょう。