証言拒絶:記者に証言拒絶権 最高裁初判断 抗告を棄却

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20061004k0000m040078000c.html

決定はまず、記者の取材源は、民事訴訟法で証言が拒める「職業の秘密」に当たると指摘。ただし「職業の秘密に当たる場合でも、保護に値する秘密にのみ証言拒絶は認められる」として、保護に値するかどうかは、秘密の公表で生じる不利益と、証言拒絶で犠牲になる裁判の公正との比較で決めるべきだとの見解を示した。
これを踏まえ、報道について「国民の知る権利に奉仕するもので、事実報道の自由は、表現の自由を規定した憲法の保障下にあり、取材の自由も十分尊重に値するもの」とその意義に言及。取材源の秘密を「取材の自由の確保のために重要な社会的価値を有する」と位置づけた。
そのうえで(1)公共の利益に関する報道(2)取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れない(3)社会的意義や影響が大きい民事裁判で公正な裁判を実現する必要性が高く、証言が必要不可欠との事情がない−−などの場合、原則として証言を拒絶できるとの基準を提示。諸事情を比較しても、今回のケースは証言を拒絶できると結論付けた。

妥当な判断と思いますが、上記のように、取材源秘匿を「取材の自由の確保のために重要な社会的価値を有する」と位置づける場合、記者等に証言拒絶権を認めていない刑事訴訟法は妥当なのか、という問題が、改めて検討される必要があると感じます。
今回の最高裁決定を踏まえ、刑事訴訟法でも証言拒絶権を主張する、という動きが、今後、生じてくる可能性もあるでしょう。
無用な混乱が生じる前に、立法上の手当を講じておくべきかもしれません。