刑事免責、証人尋問に適用 東京地裁の覚醒剤密輸事件で

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180619-00000094-asahi-soci

刑事裁判に出廷した証人に、本人の罪の立証には使わないと約束して証言を強いる刑事免責制度が、東京地裁(家令和典裁判長)で19日にあった覚醒剤密輸事件の裁判員裁判の証人尋問に適用された。司法取引とともに今月1日から導入された制度で、適用は初めてとみられる。

従来の刑事裁判であれば、予め捜査段階で検察官調書を作成しておき、証言を拒絶したり供述調書と食い違う証言をすれば、供述調書を(法定の要件を満たし証拠能力があるとして)請求という流れでしょう。この事件で、この証人について供述調書が作成されていたのかどうかはよくわかりませんが、捜査段階から供述を拒否し供述調書がない(あるいはあっても断片的なものしかない)ということであれば、刑事免責を付与することで証言拒絶権を行使せずに証言させることが可能というメリットが検察官には出てきます。また、供述調書が作成されていた場合でも、特に裁判員裁判では法廷でのわかりやすい立証が求められますから、上記のような展開での供述調書による立証に依存しないために、やはり刑事免責付与は有効であると検察官が判断した可能性が高いでしょう。検察官の立証の必要に応じて行われるのが刑事免責ですから、いかに必要性を検察官が見出すかにより実施するかしないかが決まってくる性質を元々持っています。
今後、どこまで活用されるか、あるいはされないか、注目される制度であると思います。