取材で「幸福の科学」施設に立ち入り ⇒ 罰金10万円の有罪判決。「報道の自由が大きく損なわれる」と控訴へ

取材で「幸福の科学」施設に立ち入り ⇒ 罰金10万円の有罪判決。「報道の自由が大きく損なわれる」と控訴へ(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

15日には東京地裁で判決が言い渡され、三浦隆昭・裁判長は「報道のための取材の自由は十分尊重に値する」とした一方で、藤倉被告が本来禁止されていた写真撮影をしていたこと、それに過去に繰り返し教団施設への立ち入り禁止を通告されていたことなどを挙げ、「建物の管理権を不当に侵害するものと言わざるを得ない」とした。

住居(建造物)侵入罪の保護法益をどう考えるかについては、住居の平穏とする考え方と管理権とする考え方に分かれます。住居の平穏と考える場合、本件のように、公開されている場所に、平穏を害しないような態様で入る行為は法益を侵害せず違法な「侵入」に該当しないと考えることになりやすい一方、管理権と考えると、それを侵害する態様の立入は、外形的に平穏を害するようなものでなくても違法な侵入と考えることになります。判例は後者の考え方に立ちます。

本件では、記事によると、被告人が繰り返し管理権者から立入禁止を通告されていた、とありますから、 管理権説、判例からは、そういった状況下での立入は違法な侵入と認定されやすいと言えるでしょう。

ただ、本件では罰金に執行猶予が付されるという、極めて異例な量刑になっており、しかも、執行猶予期間は2年と短く設定され、裁判所が、違法、責任についてかなり限定的なものだと考えたことが窺えます。表現の自由との均衡や立入が報道目的であったことをかなり考慮したものと言えると思います。

住居(建造物)侵入罪の罪質、表現の自由報道の自由との関係が問題になった場合の判断の在り方といった点で、考えさせられるものがある判決という印象を受けます。