「新説徳川家康〜後半生の戦略と決断〜」

 

豊臣秀吉没後、豊臣氏滅亡までの徳川家康の後半生を、史料に基づきつつ丹念に追った内容で、史料の引用が多くて素人には読むのに骨が折れましたが、現状での最新の到達点が示されている観があり、読み応えがあるとともに参考になるものがありました。

徳川家康関係の本は、昨年のNHK大河ドラマの主人公だったこともあって、一昨年後半から昨年にかけていろいろ読んでみましたが、近年、研究が進んできた面がかなりあり、通説が見直されてきてもいます。例えば有名な築山事件にしても、従来の通説が、織田信長松平信康に嫁いだ娘からの讒言を信じ築山殿や信康の処分を強いたとしていたのが、そうではなく、徳川家内部の内紛や家康と信康との対立が生んだものだったという見方が有力になりつつあります。

そういった流れの中に本書もお位置付けられるように感じました。