「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ 失意も恵み」

 

ヴォーリズといえば、数々の名建築を残して今なお語り継がれる人物ですが、買ったまま読めていなかったこの本を、最近、通読することができました。

アメリカに生まれ、英語教師として来日したヴォーリズが、滋賀を拠点としつつ、建築やキリスト教伝道に邁進し、人々から信頼されつつ多大な成果を上げていく、その生涯が紹介され、これまで知らなかったヴォーリズの人間像が把握、理解できました。

特に心打たれたのは、日米関係が悪化する中で愛する日本に帰化することを決意し、日本の臣民としての義務を果たすと誓って帰化したその姿で、人として大いに葛藤があったと思うのですが、そういうことを成し遂げられる器の大きさには感銘を受けるものがありました。

事業で成功し有名になると、とかく増長し高慢になる人が多いものですが、ヴォーリズの場合、成功し有名になるほど謙虚になり、事業で得た利益は伝道や社会活動に惜しげもなく振り向け、周囲の人々の尊敬、信頼を集めていて、実に偉いものだと感じ入りました。今なお人々から慕われているのも

vories.com

よくわかります。

今後、現存するヴォーリズ建築を見ていく上でも、本書を読んで学んだことが大いに役立ちそうです。