遺骨――戦没者三一〇万人の戦後史 (岩波新書)

遺骨――戦没者三一〇万人の戦後史 (岩波新書)

遺骨――戦没者三一〇万人の戦後史 (岩波新書)

ニュースで、戦没者の遺骨収集が報じられることが時折ありますが、戦後、どのような歩みをたどってきたのか興味を感じ、読んでみました。
意外であったのは(私が知らなかっただけですが)、戦後、一時、国による遺骨収集はこれ以上行わない、とされた時期もあり、その後、方針が転換されて遺骨収集が続けられているということで、多くの未収集の遺骨が、一時は海外の様々な場所でむせび泣いていたような気がして、気持ちが重くなりました。
戦後間もない頃は、国や地方公共団体による国内での遺骨収集が進まず、宗教関係者などにより多大な苦労の下で収集が行われ今なお民間の施設で慰霊が行われている実例も紹介されていて、頭が下がる思いがしました。
すべての遺骨を収集することが理想とはいえ、現実的には無理であり、今後は、これ以上の遺骨収集が難しいという判断に立ち至った場合に、どのようにして慰霊を行うかといったことも課題になるように思います。
現在の日本の平和は、数多くの屍、悲しみや涙、そして不戦の誓いの上に築かれていることを、改めてしみじみと感じました。