http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150317-00000334-fnn-soci
教え子の女子大学院生を殺害した容疑で逮捕された福井大学大学院の准教授の男が、女子大学院生から、「殺してほしいと言われた」と供述していることがわかった。
殺人罪は、法定刑が死刑まである重罪ですが、被殺者の嘱託、承諾を得て殺害した場合は、法益の主体がそのように殺害を望んでいることから、刑法202条で法定刑がかなり軽くなっています。
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
昔、ある地検にいた際に、当初は承諾殺人の弁解をしていて、その後、承諾はなかったと供述を変遷させた被疑者について、本庁から事件を取り扱っていた支部へ派遣されて取調べを担当したことがありますが、派遣されるにあたり上司からは、当初にこうした弁解が出ているので慎重に取調べを行うようにと指示され、殺害に至った経緯について、裏付けも取りながらかなり慎重に取調べて、承諾はなかったということも確認して、調書を作成したことがあることを、上記の事件の記事を読んでいて思い出しました。被害者が死亡しているだけに、嘱託、承諾があったという被疑者、被告人供述を、どこまで信用して良いのか認定が微妙になる可能性があり、なかなか難しい事件になりがちで、上記の事件についても、今後、捜査が慎重に進められる必要があると思います。嘱託があった、ないという水掛け論を取調べで行うだけに終わらせるのではなく、被疑者、被害者間の関係をできるだけ掘り下げ立体的に再現するような捜査が必要でしょう。