女性アナの清廉性って一体何? 内定巡る判例から探る

http://www.asahi.com/articles/ASGCT3F28GCTUTIL008.html

この問題について、ポイントを突いた良記事ですね。

これらの判決から、内定の取り消しは、①内定時に知りえなかった事実が後で判明し、②社会通念上相当と認められる場合のみ有効、との基準が定着した。
労働問題に詳しい吉村雄二郎弁護士は今回の訴訟について、ブログで「総合的に見て内定取り消しは認められない」としながら、「日テレ側に全く合理性がないわけではない」とも書いた。
裁判所がアナウンサーを特殊な職業だと認めた例があるからだ。アナウンサーの女性が別の部署への配転の無効確認を求めた仮処分の申し立てで、東京地裁は76年、「人間的な温かさや信頼感、各種のタレント性を必要とする専門職」との決定を出した。吉村弁護士は「一般の職業に比べれば、ホステス歴をふさわしくないとする余地はある。結局、女子アナとは、ホステスとは、という仕事の評価の問題だ」と語る。

問題となっている「ホステス勤務歴」が、上記のような基準に照らし、内定取消に値する、アナウンサーとしての適格性に影響を及ぼす事情と言えるかどうかということに、結局は帰着するのではないかと思います。
ホステスといっても、勤務していた店舗や勤務の内容、勤務期間など人により様々で、報じられているところによれば、ごく普通の、静かな落ち着いたお店で短期間働いただけとのことですから(その辺の事実関係の詳細はわからないものの)、そういった事情や、クラブホステスという職業がOLや女子大生でも割りと気軽にアルバイトで就く職業になっているという現状に照らすと、内定取消という、一種の「死刑宣告」するほどの重大な取消事由に該当することにはかなり疑問があると、私は思います。社会通念は時代とともに変わるもので、日本テレビは、古い社会通念や、それを引きずった興味本位の雑誌等の報道を過度に恐れる余り誤った判断をしたのではないでしょうか。
今後の裁判所による判断が大いに注目されるところです。