http://mainichi.jp/select/news/20140304k0000e040247000c.html
東京高裁(三好幹夫裁判長)は4日、被告側の保釈請求を却下した東京地裁決定を取り消し、保釈を許可した。
一般的に、裁判所は、否認事件の場合、検察官立証が終了するまでは、罪証隠滅の恐れを理由に保釈を許可しないことが多いですね。そうであるからこそ、保釈になりたいがために、同意したくない証拠に泣く泣く同意する「人質司法」の弊害が生じてきます。組織犯罪のような特殊な事件を除き、一般人が「関係者への働きかけ」などそうそうできるはずがないのですが、裁判所は、その辺を検察官の言いなりで安易に認定してなかなか保釈を出そうとしない傾向は今なお根強くあります。
では、検察官立証が終了すれば保釈になるかというと、その場合が多いとはいえ、時々、本件のように、検察官立証が終わっても「まだ罪証隠滅の恐れがある」として、ずるずると勾留されることもあります。結局、罪証隠滅の恐れということを抽象的に見て過度に気にし始めればきりがないわけで、さすがに、今回は、抗告を受けた高裁が、裁量逸脱と見て原決定を取り消し保釈を認めたということでしょう。検察庁の強力な味方であることが多い東京高裁ですら是認できなかった保釈却下決定、ということになると思います。
ただ、1000万円という保釈保証金は、伝えられるような被告人の生活状況から、高額に過ぎるように感じられます。
今後は、被告人と弁護人の打ち合わせもしやすくなって、どこまで充実した反証ができるかが焦点になると思います。
追記:
検察官が特別抗告したそうですが、こういった身柄の問題で、検察官が特別抗告までするのは、異例中の異例でしょう。私は、この世界に入って四半世紀たちますが、高裁で保釈許可になった被告人について、検察官が特別抗告までしたという話を聞くのは初めてです。それだけ、この事件への、保釈による影響を危惧しているのだろうと思いますが、立証に自信がないのだろうか、法廷で自信ありげに振る舞っている割には、えらく弱気だな、とも感じますね。