僕の死に方 エンディングダイアリー500日

僕の死に方 エンディングダイアリー500日

僕の死に方 エンディングダイアリー500日

今日、大阪へ日帰りで出張していて、往復の機内でこれを読みました。なかなか良い内容だと思いました。
昨年10月に亡くなった、流通ジャーナリストの著者・金子哲雄氏について、私は、うっすらとした印象しか持っていなかったのですが、この本を読み、単なるうわついたバラエティ芸人のような人ではなく、きちんと現場へ赴き流通について独自の視点を持ち有益なコメント、解説ができる人であった、という印象を強く持ちました。若い時から、流通への興味を生かして仕事をしたいという確固たる考えを持ち、その進化を世に認められ、メディア出演も増えて、さらにこれから大きく飛躍して活躍を、というところに、突然の病魔に襲われた経緯は、この本で紹介されていますが、何よりも金子氏本人が残念だったのではないかと思います。こういった有為な人材を失ったことは、社会にとっても大きな損失でした。
これは本当に偉いな、と思ったのは、既に報道でも紹介されていますが、死期を悟った後、仕事をできるだけこなしながら闘病生活を続け、死後について行き届いた準備をし、自らの葬儀の準備までしていたことで、金子氏の真価というものが、最期を迎えるにあたり最大限に発揮されたという印象を強く持ちました。
早世が惜しまれますが、1つの独自のジャンルを切り開き、確固とした仕事をやり遂げて、41歳という短い人生でしたが、とても充実したものであったということは、この本を読んでしみじみと感じました。しかし、まだまだ生きて活躍してほしかった、という思いは、今後も私の中で(おそらく多くの人々の心のなかでも)消し去ることができないでしょう。謹んで御冥福をお祈りします。