日本型リーダーはなぜ失敗するのか (文春新書)

日本型リーダーはなぜ失敗するのか (文春新書)

日本型リーダーはなぜ失敗するのか (文春新書)

リーダーシップやリーダー論を語る本は、山のようにあって、100冊あると99冊までは、くだらない、役に立たない駄作なのですが、この本は、そうではない、100冊の中の1冊に入る本だろうと、通読して感じました。もはやリーダーになることはない私にとっても、いろいろと考えさせられるものがありました。
太平洋戦争当時を中心とした、主として将官クラスの様々な軍人を取り上げながら、あるべき、また、あってはならないリーダー像を縦横無尽に語っていて、随所で、大きくうなずけるものがありました。リーダーを目指す人、リーダーとしての在り方を模索している人にとっても、かなり役立つ一冊ではないかと思います。
私自身がイメージする理想のリーダー像は、この人ならついて行けると思わせる人間的魅力、優れた理解力と判断力に裏打ちされた決断力、難局から逃げずに立ち向かい取るべき責任を取る潔さを兼ね備えた存在、といったところでしょうか。こういった人物はなかなかいないものです。
リーダーというものは、自然と沸いて出てくるものではなく、社会が、組織が、能力ある者を見出して意図的に作り出さなければならないものではないか、ということを、改めて強く感じます。リーダー不在の今こそ、リーダー論について活発に議論を重ね、日本を、社会を、正しい方向へと導く真のリーダーを生み出さなければならないでしょう。