メディチ家の墓をあばく―X線にかけられた君主たち

メディチ家の墓をあばく―X線にかけられた君主たち

メディチ家の墓をあばく―X線にかけられた君主たち

前に買ってちょっとつまみ読みした程度のままになっていたのですが、興味を感じて通読しました。私は、こういった古病理学には、素人ながら興味があって、本が目につくと、つい買ってしまいます。
本書では、イタリアのフィレンツェにある、かつての支配者メディチ家墓所にある遺骸について、調査した状況を報告したもので、途中経過ではあるものの、墓所の状況や過去にどういった経緯をたどってきたかなど、いろいろと紹介されていて、こういった分野に興味を持つ者にとってはかなり刺激的な内容になっています。残念なのは、1800年代の後半に行われた調査の際、遺骸がかなり粗雑に扱われたり、発見されたものの一部が持ち去られたりして、取り返しがつかない状態になってしまっていることで、こういった歴史的に重要な遺跡、遺物を、下手な、中途半端ないじり方をすることの危険性ということを感じました。
本書では、詳細な結果までは紹介されていなくて、ネットで検索して見る限り、最終報告がされた形跡が(少なくとも日本語になっているものでは)ないため、是非、どういった結果が出たのか、知りたいものだと思いました。
イタリアには、まだ行ったことがないので、行く機会があれば(当分なさそうですが)、本書で得た知識やイメージが役立ちそうな気はします。