押尾被告に実刑2年6ヵ月、致死罪は認めず―被告側控訴

http://www.asahi.com/national/update/0917/TKY201009170270.html

錯乱状態になってから少なくとも30分はあったのに、被告は危険性を十分認識しつつ、救命に必要な対処を取らなかったと指摘。「女性は明らかに異常な状態で、119番通報していれば救命できる可能性があった」と保護責任者遺棄罪の成立を認めた。
ただし、検察、弁護側がそれぞれ証人として呼んだ2人の救命救急医が「救命可能性は9割以上」「高くても30〜40%」と異なる見解を示したことから、「直ちに119番通報しても、女性を確実に救命できたかどうか、合理的な疑いをいれない程度に立証されていない」と結論付けた。

毎日新聞のサイトに出ていた判決要旨が比較的詳しかったので読んでみましたが、判決の特徴としては、

1 致死の点を除いて、検察官の主張を全面的に認定している
2 致死の点については、弁護人申請の救命救急医の証言も重視し、慎重に見て、因果関係を認めなかった
3 致死の点を認定しなかったことで、求刑に対し、刑期を抑えつつも被告人の悪性に厳しい目を向け実刑を選択した

という点が指摘できるのではないかと思います。なかなか手堅い判断で、上記の2の点については、報道されているような証拠関係では、検察官が控訴審で原判決の認定を覆らせることができるとして控訴するのはかなり困難と思われ、社会通念、常識に照らして考えた場合、生存に必要な保護を欠いたという判断にはうなずけるものがあって、高裁で、実刑という点を含め、この判断が覆る可能性は低いのではないかという印象を受けます。
報道ではほとんど触れられませんが、亡くなった女性のご冥福をお祈りしたいと思います。